柳広司「ジョーカーゲーム」&「ダブルジョーカー」

少し前から気になる存在ではあったのだけれど、
手を出したが最後、ひと晩で一気読みしてしまった。
陸軍内のスパイ養成学校、通称"D機関"(陸軍中野学校がモデル)。
そこに所属する彼らは、昭和12年、戦時中の陸軍にありながら、
"死ぬな、殺すな"と教えられる。

己の高い能力と、それゆえの高いプライドのみを拠り所とする彼らの
知略の応酬、孤独な戦い。
人はプライドのために、こうまで何かを犠牲にして生きられるのか?
と思いながらも、そのストイックな生き様に、憧れを禁じ得ません。

アニメにしても、ドラマにしても
そこそこ売れそうだなあと思ってしまうのは職業柄か
(そうすることがいいか悪いかは別として)。
すらすら読めてしまうので、忙しいけどエンタメ小説が読みたい人にはお勧め。
霜月かよ子が漫画化した「Dの魔王」も、同じく良かったです。

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「この連中を動かしているものは、結局のところ、
 ――自分ならこの程度のことは出来なければならない。
 という恐ろしいほどの自負心だけなのだ。」

柳広司「ジョーカーゲーム」

ジョーカー・ゲーム

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