楽しいことばかり思い出したよ、もう君はいないのに。

前に書いた通り先週は1週間夏休みをいただき、
ずっと実家でのんびり過ごした。
職場では、夏休みともなると地球の裏側や南の島など
旅に出る人がとても多いので、
もっと遠くに行ってきたらと言われたけれど、
つめの先まで馴染んだ空間の中に守られて
セミの声を聞きながら、ただ何も考えずに横になりたかった。

毎日だらだらと、寝たいだけ寝て、
本を読んでゲームをして、
たまに母や弟の買物に付き合って、
父のウォーキングの供をして、
もう私のことなんて分からなくなった祖母にも会って、
そんな胸の痛くなるような、
刹那的平和の日々。

そんなクローズドな休暇の中で唯一、
ひとりの友人とご飯を食べた。
お互いのことを忘れてもいいくらい、ずっと話していなかったのに、
あっという間に感覚が戻った。
いつも、一緒に帰っていた制服の頃に。
あの時積み重ねた時間が嘘ではないことの、証明であるように。

願わくば次にまた帰る時まで、
この場所と、そして私が、
変わり果ててしまうことのないように。